ロックアウト/タグアウト手順書はロックアウト/タグアウトプログラムの中心となるコンポーネントです。明瞭かつ直感的な手順書があれば、従業員はマシンや機器のサービス・メンテナンス時の最も安全な方法をしっかり理解できます。このことは作業中のマシンや機器で起こる予期せぬ通電や蓄積エネルギー(動力)の放出による負傷から作業員を守ることにつながります。
ロックアウト/タグアウト手順書とは
ロックアウト/タグアウトのポリシーと手順書によって従業員を保護する
ロックアウト/タグアウト手順書とは、マシンをゼロエネルギー状態(マシンを安全に遮断し通電や内部に蓄積されている動力が放出される危険がなくなる状態)にするためにロックアウト/タグアウト装置をエネルギー遮断装置に取り付ける際に使用する、文書化されたステップのことです。簡潔明瞭に記されており、すべてが完全に隔離された時点でそのことが一目瞭然で理解できます。
マシン固有のロックアウト/タグアウト手順書には、機器をメンテナンス作業に適した安全な状態にするためのプロセスが順を追って示されています。認定作業員はこのプロセスに従い作業を行います。
米国では、ロックアウト/タグアウト手順書に関する規格準拠要件の準拠状況の管理を米国労働安全衛生局(OSHA)が行っています。OSHAは雇用者側や安全専門家とのパートナシップを通じて、職場での死亡事故減少の案内人として活動し、死亡事故の大幅な減少に取り組んでいます。
御社は周到なロックアウト/タグアウト手順書を作成し危険への対策を十分に講じておられるでしょうか。御社にもOSHAのロックアウト/タグアウト規格の指針を取り入れなければならない部分があるのではないでしょうか。当社の安全エンジニアチームではマシンの種類を問わず手順書の作成および文書化のコンサルティングを提供、ご相談を承っています。
ロックアウト/タグアウト手順書の詳細情報をご希望の方はこちらの電子ブック(必読)をご一読ください。対象外機器や認定作業員要件、手順文書化などの情報を網羅しています。
ロックアウト/タグアウト手順書のメリット
制御機能の欠如や従業員トレーニングの不足が危険な職場につながるのと同じ理屈で、安全およびリスクの管理のベストプラクティスの採用は製造メーカの安全な労働環境の構築と生産性向上に役立ちます。LNS Research社によると、安全関連のベストプラクティスを導入している企業は納期と機器の有効性、事故発生率において優れた実績を示しているそうです。
ロックアウト/タグアウト手順書は階層式の管理制御機能(これが作業方法を決定づける)と連動し、労働環境の安全を劇的に向上させる力があります。管理制御機能には、ポリシーの改訂、文書化された手順書、各種形式のトレーニングなどがあります。ポリシーの改訂は職場での事故防止に大きく貢献します。
労働環境の安全向上
手順書とトレーニングを盛り込んだロックアウト/タグアウトプログラムを構築、導入することで損失時間の発生へといたる数々の事故を防止することができます。規格に準拠したロックアウト/タグアウト手順書があれば機器の作業を安全に行うために必要な情報を作業員が入手できますし、適切なロックアウト/タグアウトトレーニングを実施すれば作業に伴う有害危険や制御方法を認定作業員が理解できます。
規格準拠の合理化
州および連邦の安全規制(OSHAを含む)準拠は大小すべての企業が目標とすべき事項です。包括的かつ規格に準拠したロックアウト/タグアウト手順書を作成しておけば、職場の安全向上を実現できるとともに安全規格違反や罰金の心配を軽減できます。また仕事場のスーパバイザも安全と生産性を重視した安全な環境づくりを自らが可能な限り実践していることを確信できます。
生産性の向上
安全の向上と規格準拠以外にも、ロックアウト/タグアウト手順書にはそれに伴う定量化可能な製品投資利益率の向上というメリットがあります。たとえば、機器のロックアウトと復旧にかかる認定作業員のサービス時間が短縮されます。機器の可用性が高まり、認定作業員の作業時間が短縮され、機器/プロセスのダウンタイムが低減するというわけです。
ロックアウト/タグアウト手順書の要素
米国に所在しOSHAのロックアウト/タグアウト規格に準拠する必要のある企業も、米国外に所在し国または現地の安全規制に従う必要がある企業も、目標は規格に準拠したロックアウト/タグアウト手順書を作成することです。
ロックアウト/タグアウトの方針はエネルギー制御プログラムの基盤となります。これらのポリシーは、プログラムの構築と維持の責任者の特定、最も効果的な手順の概説、トレーニング要件の文書化を含むロックアウト/タグアウト手順書の青写真を提供します。
手順書は作業員が毎日安全に作業する上で絶対に欠かせない重要な要素です。そのため手順書には個々の機械のロックアウト指示が簡潔明瞭に記載されている必要があります。
OSHA規格により、各手順に記載を義務付けられている情報は以下のとおりです。
- エネルギー制御の範囲、目的、エネルギー制御に用いる方法、ルール
- 手順の使用目的(ロックアウト)
- 機器遮断ステップ
- 有害危険動力源の隔離および制御ステップ
- ロックアウト/タグアウト機器の設置および除去ステップ
- 適切に機器のロックアウトが完了したことを確認するテストステップ
当社は生産性向上とダウンタイム低減、作業環境の安全向上を実現する効果的なロックアウト/タグアウトソリューションの構築を支援いたします。
マシン固有のロックアウト/タグアウト手順書の作成
ロック可能な動力源または残留する動力源が2つ以上あるマシンには必ずロックアウト/タグアウト手順書を作成しておく必要があります。ただし自社の所有物でなく自社従業員のサービス対象でない機器については手順書は必要ありません。また、動力源が1つのみの単純なマシンについても手順書は必要ありません。具体的な適用除外基準は、規格1910.147(c)(4)(i)に記載されています。
ロックアウト/タグアウト手順書はマシン固有でなければなりません。つまり、機器ごとに具体的なロックアウト/タグアウト手順書を作成する必要があります。手順書にはマシンの説明や位置、動力源、動力源の制御方法などといったマシン固有の情報を具体的に記載しておきます。
同種の機器群に用いる、汎用的なロックアウト/タグアウト手順書を作成しておくことも可能です。その場合は、動力源タイプと隔離方法を同じくする同種の機器のみを考慮に入れるよう注意する必要があります。また汎用的な手順書を使用するのは、動力源が2~3個の単純なマシンに限ります。
手順の年次監査
不備を特定し、修正する:従業員に責任を認識させる
OSHAは毎年の手順見直しを企業に義務付けています。手順を通じて十分に安全な労働環境が提供されていること、ならびに手順改訂の必要性を判断するには監査が有用です。また各手順で規定されている責任を従業員が把握していることや、従業員に適切にステップに従う能力があることを確認することも重要です。
毎年のロックアウト/タグアウトプログラム見直しはプログラム中の脆弱な部分を特定する絶好の機会であるとともに、機器の不慮の動力源再稼働による負傷事故をなくし全従業員の安全を確認する機会でもあります。安全を重視した徹底的な見直しを行うことで雇用者側は事故が起きる前に不備を是正することができます。
ロックウェル・オートメーションはロックアウト/タグアウトの世界的リーダとして各業界にサービスを提供しています。監査プロセスや見直しプロセスに関するご相談は当社にご連絡ください。当社専門家がお問い合わせにお応えし御社ニーズを満たす見直しプロセスを考案いたします。
認定作業員の手順要件
メンテナンスや機器のサービスは作業員にとって危険が伴うことがあるため、認定作業員のみがこの作業を実行できます。OSHAでは認定作業員とは誰のことか、認定作業員の責任、影響下にある作業員とは誰のことかを明確に定義しています。
OSHAのロックアウト/タグアウト規格では、認定作業員とはサービスまたはメンテナンスを行う目的で機器をロックアウトまたはタグアウトする人と定義されています。
認定作業員は有害危険動力源に関するトレーニング受講を義務付けられています。トレーニングでは動力源やそのタイプ、それが職場に及ぼす危険の規模にはじまり、サービス時やメンテナンス作業時のロックアウト/タグアウト手順を学びます。彼らは動力源を隔離しロックアウトする正しいステップを覚える必要があるほか、ロックアウトの精度を確認する方法もトレーニングで学ぶ必要があります。
認定作業員はグループロックアウトの方法やシフト変更時の対処法、その他特殊な状況での対応法も把握しておく必要があります。
マシンのロックアウトが義務付けられている状況は以下のとおりです。
- 作業員が身体の一部が作業する機器の内部に入る場合
- 作業員の身体の一部が作業に関連する危険区域にある場合
- 安全対策やその他安全装置を用いない場合はマシンをロックアウトする必要あり
- 作業員がルーチン以外の機器で作業する必要がある場合、その作業員は認定作業員と見なされる
ロックアウト/タグアウト手順書から逸脱した作業は、OSHAの危険なエネルギーの制御に関する規格で厳禁されています。