ファイザーグローバルサプライ(PGS)は、42のグローバル製造拠点全体で毎年230億服用回分以上の医薬品を製造していますが、2016年に当時の社長の組織改革の一環で新たな取り組みを始めました。目標は、シームレスでデータ主導のオペレーションへと変革し、世界クラスのパフォーマンスを実現し、最終的には「患者の生活を変えるブレークスルーを実現」することです。
しかし、これは簡単な作業ではありません。PGSの製造拠点の中には、同社が買収した30を超える旧式な工場が存在し、そこではシステムもデータセットもバラバラで、プロセスも機器標準もまちまちでした。何から手をつけて良いかもわかりませんでしたし、また、OTレイヤ(現場レベル)で使用されるシステムの変更は非常に複雑で長い道のりになると思われました。
白紙状態からの戦い
PGSは、デジタルトランスフォーメーション戦略を策定する際に、自身の会社のビジネス課題と業界全体の技術の展望を把握するのに時間を費やしました。
「白紙の状態で最初からやり直すことができたら、今日から始めて、今までやってきたことに縛られなくて良いとしたら、と仮定しよう」、ファイザーのデジタルマニュファクチャリング担当バイスプレジデントであるマイク・トマスコ氏は周囲にこう語りかけました。経営幹部の強力な支援のもと、包括的なビジョンの策定と価値の提供にフォーカスした戦略立案はここから始まったのです。
デジタルマニュファクチャリング部門でこの活動が始動し始めた一方で、PGSのオペレーショナル・エクセレンス・グループは、PGSオペレーションをリーン生産方式に移行することに焦点を当てたイニシアチブの最中にありました。
「両者が一堂に会したとき、私たちはこれらのものが互いに補完的であり、お互いの成功にとってお互い無くてはならない存在であると気付くには時間は掛かりませんでした」と、マイク・トマスコ氏は言いました。「理想とする工場オペレーションにむけた新たな組織作り、そして作業標準の体系化は、デジタル技術によって飛躍的に進化するかもしれないと感じました。」