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エンウィン・ユーティリティーズ社は、給水本管の破裂件数を21%軽減

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エンウィン・ユーティリティーズ社は、給水本管の破裂件数を21%軽減 hero image

課題

  • 老朽化した配水システム全体で給水本管の破裂を低減する
  • 漏れによる水の損失を低減して収益性と効率性を高める

ソリューション

  • MPCにより、既存のロックウェル・オートメーションの監視制御およびデータ収集(SCADA)システムとAllen‑BradleyのPowerFlexドライブをシームレスに統合
  • 圧力ステーションデータや高圧ドライブ、フロー制御バルブなど、複数のシステム変数を管理・調整することで圧力変動を制御
  • 高応答性オンボードMPCプロトタイプによりポンプ始動/停止に関連する圧力スパイクを事実上排除
  • オンボードソリューションにより追加サーバーの必要性を排除

結果

  • 給水本管破裂の年間件数を21%低減し、約12万5000ドルの節約を実現
  • システム圧力を2.8 psin低減
  • 電力コストとシステム内の漏れを低減して年間12万5000ドルを節約
  • サーバ運用コストとライセンスコストを抑制

背景

五大湖地域セントローレンス川流域に位置するオンタリオ州ウィンザーは、豊富な水源に恵まれています。ウィンザー事業委員会(WUC)はこの資源を保護しながら有効活用することに誇りを抱いています。環境保護とシステムの信頼性に注力する同社は、これまで一貫して水消費量を低減してきました。WUCは、エンウィン・ユーティリティーズ社によって管理されており、年間480億リットルの水を7万2000を超える顧客に供給しています。また、カナダで最も低いレベルの生産および供給コストを維持しています。

水供給を低料金に維持するため、エンウィン社は継続的な改善モデルを活用し、プロセス変更や投資計画による業務の最適化を実現しました。2011年に同社はシステムの効率性とプラントのプロセスを向上するため、新たにロックウェル・オートメーションの監視制御およびデータ収集(SCADA)ソリューションを設置しました。その2年後、同社は水道施設のインフラ基盤全体で増大する給水本管破裂を低減するために、システム機能を拡張することを計画しました。
 

課題

2012年後半までに、エンウィン社では年間238件、給水本管の破裂があり、そのたびに修理に5000ドルを要していました。給水本管の破裂はさまざまな要因で起こりますが、同社ではその大半がシステム全体での圧力のスパイクとディップによって引き起こされていると判断しました。

水は非圧縮性流体であるため、システム内の任意の場所で発生した圧力変化はインフラ基盤全体に伝達されます。一定の条件下では、このような圧力変動が給水本管の破裂を引き起こす可能性があります。鉄製の給水本管と水道管の腐食、土壌浸食を特徴とする古い水道インフラ基盤は特に圧力変動の影響を受けやすくなります。また、寒い気候条件では、問題がさらに悪化します。

エンウィン社では、老朽化したインフラ基盤の継続的な保守と積極的な取替えが資本計画に含まれていますが、システム全体の取替えが追いつかないというのが実情でした。

エンウィン・ユーティリティーズ社の水生産部門部長であるゲーリー・ロッシ氏は次のように述べています。「当社のインフラ基盤は古いため、給水本管の破裂が非常に起きやすくなっています。当社では、取替えを行なうまでの間、既存のインフラ基盤の性能向上に役立つソリューションを必要としていました。」

エンウィン・ユーティリティーズ社の配水システムは、2つの処理場と何千キロメートルにも及ぶ配水管、2つのポンプステーション、さらには高需要期間に使用されるブースタ・ポンプ・ステーションで構成されています。

ポンプステーションでは、ポンプ流量は出口ヘッダ圧力に基づく単純なPID (比例-積分-微分)論理で制御されていました。オペレータは、タワーレベルの上昇をモニタし、需要の変化に応じて調整を行ない、システム流量を調整するためにポンプを手作業で停止/始動していました。また、ブースタステーションもPIDロジックで制御され、システム要求とオペレータの判断に基づいて始動/停止されました。

ロッシ氏は次のように述べています。「PIDロジックには、単一入力のみを制御して単一出力のみを生成できるという大きな制限があります。この場合、高揚程ポンプは、変動する圧力で流量定値を維持することによって制御されていました。可変周波数ドライブやフロー制御バルブ、その他入力圧力データなど、多変数要素を制御シナリオで考慮できませんでした。それで、基本的に、手持ちの技術でできることをやっていたんです。その結果、システム圧力が一貫せず、費用のかかる修理を多くすることになりました。」
 

ソリューション

最初のソリューションの可能性は、2012年にエンウィン・ユーティリティーズ社の事業担当バイスプレジデントであるジョン・スチュワート氏が、ロックウェル・オートメーションのイベントであるAutomation Fair (オートメーションフェア)でモデル予測制御(MPC)のデモンストレーションを見たときに浮上しました。

「ジョンからこのソリューションについて聞いたとき、皆、感動したんです」と、ロッシ氏は言います。「この技術の応答時間に特に魅力を感じました。システムが複数の変数に同時に反応して、それに従って調整を実行できるんですから」と、ロッシ氏は続けます。

このサーバベースのソリューションでは、15~16秒間隔でデータが収集されました。エンウィン社は、ロックウェル・オートメーションのチームと協力し、既存のSCADAシステムの機能を活用してMPCコントローラをソリューション全体に統合する計画を立てました。SCADAシステムは、完全冗長Allen‑Bradley®のControlLogix®プログラマブル・オートメーション・コントローラ(PAC)プラットフォームを基盤としています。

エンウィン社は、ロックウェル・オートメーションのチームと協力し、既存のSCADAシステムの機能を活用してMPCコントローラをソリューション全体に統合する計画を立てました。

オンボードMPCソリューションにより、エンウィン社はポンプの始動/停止に起因する圧力スパイクを緩和できました。「MPCでは、複数の要因に基づいてポンプステーションをモニタおよび制御できます。そのため、システム全体で一貫した圧力を維持しながら流量需要の変動に対応できます」と、ロッシ氏は説明します。

フェーズ1:サーバベースのMPCサービス中断の可能性を最小限に抑えるために、エンウィン社はソリューションを2つのフェーズに分けて実装することにしました。フェーズ1では、サービスエリア全体で17のリモート圧力ステーションを設置しました。システム全体で一貫した圧力を維持するため、すべての圧力ステーションで最小圧力制限が設定されました。リモートステーションは、1日を通じて変動するシステム要求に対応するようにプログラミングされたMPCコントローラによってモニタされました。

システムは、地域全体で適切な配水を行なえる範囲で圧力を可能な限り低く維持するように構成されました。MPCコントローラは、2台の高揚程ポンプ(ポンプステーションで1台、ブースタステーションで1台)を弱めることで流量を管理しました。これらのポンプは、Allen‑BradleyのPowerFlex® 700およびPowerFlex 7000可変周波数ドライブによって制御されていました。

エンウィン社のチームは、2013年6月にフェーズ1を立上げ、フロー制御バルブ(FCV)の調節機能を追加することでメインキャンパスのヘッダ圧力の最適化に焦点を当てるフェーズ2の計画を開始しました。

フェーズ2:オンボードソリューションによるMPCの最適化

フェーズ1での実装の結果には最初から目を見張るものがありましたが、ロックウェル・オートメーションのチームはフェーズ2でさらなる機能を組み込ことを希望していました。サーバベースのMPCソリューションでは、稼働中のポンプの可変速度制御とともに、システム内のさまざまな圧力点で多変数制御が可能となりました。しかし、ポンプ始動/停止制御は、フェーズ1システムには含まれていませんでした。

ロックウェル・オートメーションのアプリケーションエンジニアであるクイン・デニスは次のように述べています。「ポンプ始動/停止機能とフロー制御バルブを組み込むことで、システムを最適化できることはわかっていたんです。でも、既存のインターバル速度では、MPCはポンプの始動/停止による高速の圧力スパイクを緩和できるほど迅速にシステムを調整することはできませんでした。」

エンウィン社は、ロックウェル・オートメーションと協力して、インターバル速度を飛躍的に向上させることが可能な新しいオンボードMPCコントローラをテストすることに同意しました。このプロトタイプのソリューションには、ControlLogixコントローラのオンボードMPCコントローラ機能が搭載されており、個別のサーバやソフトウェアは不要でした。オンボードMPCソリューションを設置後、インターバル速度は15~16秒から0.5~1秒の範囲に改善されました。PowerFlex 7000高圧ドライブと統合されたこの高応答システムによって、稼働中のポンプの速度を調整できるようになったほか、調整可能なフロー制御バルブを使用してポンプの始動/停止に起因する圧力スパイクをオフセットできるようになりました。使用に関するエネルギーコストの要因を設定することで、システムに組み込まれたオプティマイザが経験則に頼ることなく明示的に高圧ドライブの使用を定義できます。フロー制御バルブを使用するとエネルギーコストが高くなるため、システムはドライブの流量下限値に達するまで可能な限りバルブが開いた状態を維持します。その時点で、オペレータはポンプをシャットダウンするように指示され、バルブが作動します。
 

結果

「当社は、オンボードMPCソリューションのテストにおいてロックウェル・オートメーションとの協力体制を実現しました。最終的に、2014年1月にフェーズ2を立上げ、改善後の機能をメインキャンパス全体とブースタステーションに適用しました」と、ロッシ氏は語ります。

次にフェーズ3として、このオンボードソリューションをシステム内の残りのポンプステーションに適用することを計画しました。エンウィン社では、2013年6月に最初のフェーズが適用されて以来、ソリューションの成果をモニタしていました。

「ごく初期の段階で、圧力が上下に変動しなくなり一貫していることに気づきました。システムの信頼性と性能は引き続き適切な方向に進んでいましたが、優れたデータセットを確実に取得してから最終判断を行ないたかったんです」と、ロッシ氏は続けます。12月後半、6か月分のフェーズ1データの証拠を基に、エンウィン社はMPCソリューションがサービスエリア全体でシステムの圧力を正常に制御できているという結論に達しました。ソリューションが適用される前、エンウィン社では年間平均238件の給水本管の破裂が見られました。それが、2013年には21%減少して187件となり、約12万5000ドルのコスト削減につながりました。

同社は、平均システム圧力を2.8 psi、標準偏差を29%低減しました。その結果、電力コストとシステム内の漏れが減少したため、推定12万5000ドルの節約を実現できました。

フェーズ2で実装された強化によって、ポンプ始動/停止時の圧力スパイクは事実上なくなりました。「このプロジェクトの初期段階では、私たちは慎重姿勢を保っていました。技術が約束通りに機能することを確認したかったんです。でも、それは結果によって実証されました」と、ロッシ氏は述べています。

このオンボードソリューションは、パフォーマンス向上以外の方法でも運用費用を抑えるのに役立ちました。

「オンボードMPCを使用することで、ソリューションの全体的なコストも削減できました。もちろん、MPCのライセンス料は支払う必要がありますが、追加サーバや関連ライセンスのコストをなくすことができました」と、ロッシ氏は語ります。「ロックウェル・オートメーションが制御技術の向上だけでなく、継続的な運用費の削減にも役立つソリューションを開発されているということで、私たちも非常に心強いです」と、ロッシ氏は締めくくりました。

公開 2014年6月1日

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