食品&飲料業界は、労働力の問題に大きな影響を受けています。パンデミックの混乱から退職の危機まで、雇用主は労働力を拡大する方法を必要としています。食品&飲料企業のリーダは、人材の確保と維持の2つを最重要課題として挙げています。
業務の効率化を推進するための最新のツール、テクノロジ、作業プロセスがなければ、生産者は将来的に成功を収め、競争力を維持するのに苦労することになります。
何百もの製造業者からのフィードバックをまとめた「2022年第7回スマートマニュファクチャリングの現状報告」によると、熟練労働者の不足、サプライチェーンの混乱、セキュリティ/リスク管理がビジネスにおける最大の課題であることが示されています。
レポートの調査結果によると、回答者の84%が報告した第1位の課題は、従業員の定着です。
製造業にとって朗報なのは、イノベーション、テクノロジ、データを活用して意思決定を行なうことで、雇用主は労働者に適切なツールを装備できるとともに、学習と開発を通じて成功への道をサポートできることです。
これは、Microsoft Industry Blogsでの「製造業のニューノーマルにおけるスキルギャップに対処する」で強調されています。デジタルトランスフォーメーションを取り入れた企業は人材からより多くの生産性を得ることができ、熟練労働者の世代が現場を離れ、現在の労働者がキャリアモビリティを活用することによって減少している制度的知識の低下に対抗することができます。
ピュー研究所によると、米国における製造業の熟練労働者の不足は、パンデミック以前は60万人以上でしたが、2028年には240万人に達すると予測されています。
オートメーションシステムは、これまで以上に柔軟で洗練されたものでなければならず、また、より直感的で透明性のあるユーザ体験を従業員に提示する必要があります。
人材の人口構成が大きく変化しているため、使用するデバイスと従業員の経験を考慮してください。情報を消費しやすく、役割に応じたものにしてください。チーム・コラボレーション・ツール、複合現実(MR)ガイド、IoT対応マシン、AI強化アプリケーションで人を補強し、ダウンタイムを回避し、生産性を高めるために、リモートアセットや専門家の支援を取り込みましょう。また、ビデオライブラリーは論理的で情報を消費しやすく、採用しやすい方法です。
これらの包括的なテーマを念頭に置きながら、この増強とエンパワーメントの実現を始めるために、すぐに取り入れられる実用的な提案をいくつか紹介します。
働き方改革に向けた6つのアプローチ方法
1. 拡張現実(AR)、仮想現実(VR)、および複合現実(MR)でオペレータとメンテナンスチームをサポートする
エクステンデッドリアリティ(XR)技術は、仮想現実(VR)、複合現実(MR)、拡張現実(AR)を包含しており、従業員の訓練と定着のための強力なツールとなっています。
HoloLens®、RealWearタブレット、スマートフォンなどは、ARエキスパートガイダンスを利用した知識伝達で作業者を強化するツールの一部です。VR対応の作業指示とデジタルツインの使用により、遠隔支援で作業員を訓練し、効率性、生産性、安全を高めることができます。
オンサイト・リモート・サポートは、メンテナンス担当者が必要なときにサポートを受けるのに役立ちます。ARリモート支援では、その分野の専門家が離れた場所で何が起こっているかを可視化し、遠隔可視化を使って技術者が問題を修正するのを支援することができます。ARは、リモート支援や作業指示書を使った新入社員のトレーニングにも活用されています。従業員向けのビデオトレーニングでは、教室で行なうよりも効果的に記憶させることができ、必要であれば言語翻訳も容易に行なうことができます。
2. シミュレーションと予測モデリングで準備する
エミュレーションは、低コストでオフラインの制御検証を可能にし、論理的な制御テストをプロジェクトのクリティカルパスから外すことができます。また、物理的な資産をモデル化し、より早く安全に制御テストを開始し、より徹底的なテストを行ない、実際のシステムでは不可能なテストを実施することができます。
シミュレーションでは、技術者が再現可能なテストスケジュールを作成し、またオフサイトでテストを実施することができます。仮想プロセスにより、試運転の時間とコストを削減することができます。
バーチャルコミッショニングとシミュレーション/エミュレーションの大きな利点は、機械やシステムの動的なデジタルツインをオフラインで使用して、現実的な動作条件で制御システムのシミュレーション、テスト、デバッグを行なうことです。重要なのはデータです。貴重なフィードバックを得て、素早く反復し、正しいモデルを導き出すことができます。
また、エミュレーションでは、モデル予測制御や多変量制御を使用してプロセスをモデル化し、データを収集した上でリアルタイムにプロセスを調整し、歩留まりを最適化することも可能です。
3. 情報による強化
企業のリーダは、工場の混乱を効果的にトラブルシューティングして解決し、コストのかかるダウンタイムや製品・人員の安全問題につながる前に将来の問題を予測するために、「つながる工場労働者」のコンセプトに沿った実行可能な洞察を求めています。簡単に導入できるクラウド環境で利用できる生産監視技術(OEE (総合設備効率)ツール)や資産パフォーマンス管理技術(CMMS (設備保全管理システム)など)により、作業員はデータのサイロがなく1つの枠組みでデータにアクセスでき、企業はデジタル戦略を事後対応から事前対応に移行することが可能になります。
4. より迅速な機械の交換を可能にする
今日のオンデマンドで柔軟な市場(複数のSKUなどで急速に変化する市場の需要に対応)では、機械の設計と機械装置メーカ(OEM)パートナとの協力により、柔軟な製造生産ラインをより良く実現できる適応性のある機械を作ることが重要になります。独立型カートテクノロジ(ICT)のような適応性の高い技術を使えば、より小さく構成可能な設置面積で複数のサイズと構成を生産できる可変ピッチ生産ラインや包装ラインを構築することができます。ボタンを押すだけで自動交換が可能になり、より大きな生産量を生み出すことができるようになりました。また、この種の機械のリニアモータ技術は摩擦を減らすため、装置の寿命を延ばし、交換時の部品交換の必要性を最小限に抑えることができます。
5. ロボティクスで拡張する
ロックウェル・オートメーションの消費財(CPG)部門の産業コンサルタントであるジム・テイラーによれば、CPGにおいてもロボットの使用は50%も爆発的に増加しているそうです。「ロボットは製造業の世界を塗り替えています。通常、ロボットは個別のシステムを持っており、制御情報を利用できるようにすることで、すべてのシステムを統合しようという考えが今起こっています。この統合ロボット制御は、よりシンプルなアプローチを提供し、専用のロボットコントローラや個別のプログラミング環境の必要性を低減します。そのかわり、作業者は使い慣れた単一のプラットフォームを通じて、シームレスなコミュニケーションと同期を活用することができます。ロボット拡張のさらなる価値は、協働ロボット、つまり「コボット」によって実現されます。コボットと安全速度や安全トルクなどの新しい安全機能の導入により、人間とロボットが並んで作業することが可能になります。」
6. 次世代を担う人材を惹きつける
製造業は、テクノロジを活用し、最新の職場環境を整えることで、自社を魅力的な企業にしなければなりません。新しい世代の労働者は、安全で技術的に進んだ職場を求めています。ここでは、新しい人材を惹きつけるための方法をいくつか紹介します。
- 安全でサステナブル(持続可能)な方法で増加する世界人口をより良く養い育てるために、これらの技術の1つ以上を活用して業務効率を最適化し改善するデジタルトランスフォーメーションの実現を始める(または続ける) (つまり、刺激的で使命感あふれる職場になること)。
- デジタルに精通した世代の労働者が、技術的な面でどのような状況にあるのかを把握し、工場現場でのユーザ体験を、消費者体験で培った期待に沿うようにする。
- 現役の軍隊を除隊した退役軍人で、すでに技術のバックグラウンドを持っているような、代替の労働力を求める。例えば、ロックウェル・オートメーションは、Advanced Academy of Manufacturingと呼ばれるプログラムを通じてマンパワーグループと提携し、これらの利用可能な経験豊富な人材を活用し、認定して該当する製造業の雇用主とのマッチングを支援している。
- デジタル技術を利用したトレーニングを簡素化し、豊かでエキサイティングな学習体験を提供する。
- 必要に応じて、特定の分野の専門知識(サイバーセキュリティやインフラ・ネットワーク・サービスなど)を提供する外部マネージドサービスのリソースを追加で外部委託し、従業員により安全で安心できる職場を提供する。
最新のデジタルツールやテクノロジは、現代の労働力を惹きつけ、維持し、力を与えるのに役立ちます。詳しくは、6 Ways to Augment Your Food & Bev Workforce (食品&飲料業界の人材を補強する6つの方法)にご登録ください。